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『 起きろ。ついたぞ。』
明里は空調の効いた車内の心地よさに負けて、
連日徹夜の影響もあって爆睡してしまっていた。
『 ん……ここどこ………。』
『 俺の家。さっきまであんなに騒いでたのによく寝れるな。』
明里の目の前にいる男は愉快そうに笑っている。
( だれのいえって?…ん。まて……おれさっき… …)
明里は寝起きの頭から徐々に覚醒し、今自分が置かれている状況を思い出した。
『 待って。なんでおれ寝ちゃってんの!!アホなのか!!? うっ…… 』
低血圧気味な明里は寝起きから急に騒いだせいで目眩でふらつく。
『 寝起きから騒ぐやつがあるか。早く降りろ。それとも運んで欲しいのか? 』
龍司は嬉しそうに明里の前に両手を広げてくる。
明里はその手を払い、車から降りた。
『 そんなわけねーだろ!ばかにすんな!』
龍司は慣れた手つきで明里が降りた後、車のドアを閉めて
鍵をかけた。
( うわ。うぜえ……モテそうだもんな。つか、マンションでか… )
龍司の家だというマンションは見上げると身長171cmの明里は首が痛くなりそうなくらい大きかった。
明里は、前をスタスタと歩く背筋の伸びた広い背中に話しかける。
『 こんな凄いとこに一人で暮らしてんの? 』
『 そうだ。凄いと言うほどでもないが。 』
龍司はこっちを振り向きもせず淡々と答える。
( クソ。嫌味なヤローだな。)
明里は心の中で悪態をつきながらその広い背中についていく。
そして龍司は無駄にでかいエレベーターの13のボタンを押した。
なにも考えずに乗ったものの、密室で2人きり。その上相手には惚れられているという状況に明里はそわそわし始めていた。
( いやいや、相手は仮にもおれと同じ男だぞ?17年間女性経験が皆無だったとしてもこんなことでそわそわするなんて…落ち着け明里… )
『 緊張しているのか? 』
龍司は余裕そうに微笑んでいる。
『 そんなわけないだろ!おれだってそれなりに経験あるし。』
( 本当は女子とちゅーすらしたことねーけど。)
『 へえ。経験ね…。』
龍司は見透かしたような目で明里を見ている。
そして明里に近づき、片手で明里の細い腰を抱いた。
『 今のお前には何もする気はない。お前が俺のことを好きと言うまではな。』
『 はっ!?ばっかじゃねーの!絶対好きにならないし!!むしろ嫌い!触んな!』
明里は顔を真っ赤にして龍司の胸を押し返した。
赤い顔で震える明里を見て、龍司は心底面白そうに笑っていた。
そんなやりとりをしていると13階に着き、いつのまにかエレベーターのドアが開いていた。
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