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『 おお〜広い!窓でけー!景色すげー! 』
明里は通されたリビングの街を一望出来る窓に両手を広げて張り付く。
龍司の部屋は黒と白を基調とした男らしいシンプルな部屋だった。
明里は初めて見る高層階からの景色にテンションが上がっていたが、ふと我にかえる。
( なに呑気にはしゃいでんだおれは!自分がいまどんな状況かもう忘れたのか!絶対に隙を見せたらだめだ…)
明里は窓から離れて、オットマン付きの黒いソファーに座って煙草を吸う龍司を観察する。
シルバーのジッポライターで煙草に火をつける一連の動作が映画のワンシーンのようで不覚にも見入ってしまう。
( つか喫煙者だったんだ。近づいた時全然煙草の匂いしなかったのに。
てかおれこの人のこと何にも知らないのに1人でのこのこと部屋に来てるって色々順番おかしくないか? )
明里はどうせ逃げられないだろうし、素性は知っていた方が安全だと考えた。
『 な…なぁ。あんた何歳なの? いや全く気になるとかじゃないけど、おれあんたのこと何も知らないし1ヶ月も一緒に過ごすなら聞いといた方がいいかなって思ったん…だけど。 』
なんとなく照れてしまい語尾が口ごもってしまった。
龍司は明里の問いかけにピクリと反応する。
そして明里の方を向いて言った。
『 俺の名前はあんたじゃない。さっき教えたはずだが、もう忘れたのか。』
『 まきりゅうじさんでしょ。覚えてるよ。てかおれのこともお前って呼ぶじゃん。おれのことは普通に明里でいいよ。牧さん? 』
明里が言うと、龍司の眉間に皺が寄っていた。
少し悩んでから龍司は明里に聞こえるか聞こえないかの小さな声で言った。
『 龍司にしろ。』
『 ……え?なんて?聞こえなかっ『 龍司と呼べと言っている。』
聞き返す明里の声は遮られた。
龍司の顔は小さい子供のようにムスッとしていた。
( え。……なにその反応。おれに名前呼んでほしくて拗ねてるのか?意外と可愛いとこあるじゃん。)
明里は自分が他人、しかも年上に好意を持たれているという現実に少しにやけてしまう。
『 わかった。でもおれ名前を呼び捨てにするの慣れてないから龍司さんで勘弁して。』
龍司は少し不満そうな顔をしたが、渋々承諾してくれた。
改めて明里は龍司に問いかける。
『 龍司さんの年齢が知りたい。』
『 23歳だ。……ほかに聞きたいことがあったら今なら答えてやる。』
( 23ね…。落ち着いてるからもっと上かと思ってた。)
明里は咳払いをして思い切って1番気になっていた事を聞いた。
『 じゃあ…えっと、おれのどこが好きなの……? 』
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