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暫く龍司と明里は見つめ合っていたが、
午前授業で学校帰りにすぐ小谷の家に行っていて昼食をとってなかったこともあり、
明里のお腹の音が(盛大に)鳴ったので夕食にすることになった。
龍司の作ってくれたパスタとサラダはとても美味しかった。
最近は忙しくてあまり出来ていなかったが、元々料理は好きらしい。
( おれも一人暮らしだしそれなりに出来るけどくらべものにならないくらい美味しいな…。
イケメンでなんでも出来るとかずるい。)
向かいに座って食事をしている龍司の顔をちらりと見る。
改めて意識して見ると伏せられたまつ毛は長くて、白い肌に影ができていた。
龍司はスーツからいつのまにか白いVネックのTシャツにグレーのスウェット姿になっておりラフな格好だがスタイルが良いため様になっている。
かっちりとしたスーツとは違って、露出した首は太く男らしくて明里は同性として純粋に見惚れてしまう。
食事を終え食器は明里が洗った。
明里は食器を洗い終えて、リビングのソファに座って煙草を吸っている龍司のとなりに少し距離を取って座る。
明里は緊張して前を向いたまま言った。
『 …龍司さんもおれに聞きたいことあったら、聞いていいよ。』
( なんかこの聞き方だと、ちょっと自意識過剰みたいじゃね...。はずい……。)
龍司はきょとんとした顔で明里を見た。
明里は焦って続ける。
『 いやあったらでいいから!無かったらダイジョブです……。』
『 いや、ある。』
『 こっ……おれが答えられる範囲でオネガイシマス…。』
龍司は女児のプロフィール帳か?と思うくらい明里にさまざまな質問をして来た。
誕生日やら血液型やら学校のことやら。
明里は若干戸惑いながらも他人に自分のことに興味を持たれているのが嬉しかった。
そして龍司は突然、明里の耳を優しく触りながら少し心配そうに言った。
『 ……痛くないのか?』
明里は一瞬なんのことか分からなかったがすぐに理解した。
高校に上がってから、初めは好奇心で友人に開けてもらったら徐々に増えていってしまい、一時期は両耳合わせて10個以上は開いていた。
今は落ち着いて、好きなバンドのメンバーと同じ位置の穴以外は塞いでしまっていた。
『 開けるの上手い友達にやってもらったし、開けてしばらくは痛かったけど今は全然だから大丈夫だよ。』
龍司は、笑ってそう言った明里の耳に軽くキスをした。
明里は突然のことにソファから転げ落ちそうになるが、龍司に腰を抱かれて引き寄せられた。
『 今後俺以外の男に開けさせたら許さない。明里が痛がる姿も全部見ていいのは俺だけだ。』
『 っ!……ばか。マジな顔で何言ってんだよ…。』
顔を真っ赤にして龍司の逞しい胸を押し返した。
以前までの明里なら龍司の横柄な態度や発言にムカついていたが、今は何故か少し嬉しく思ってしまっていた。
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