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本編 11

○オープンカフェ(昼下がり) 向かい合わせの椅子に腰を掛ける春。 貴臣M:(春だ…幻じゃないよな…) 春:「お名前、何とお呼びすれば良いですか?」 我に返り、平静を装う貴臣。 貴臣:「貴臣と呼んで下さい。貴方の事は…」 春:「お好きに。」 貴臣M:(初対面を決め込む気なんだな…其れでも構わない。また一から始めれば良いさ。) 春の手に自分の手を重ね、ぎゅっと握りしめる貴臣。 貴臣:「春…」 びくと肩を震わせる春。 二人の視線が重なる。 貴臣:「俺と恋愛しませんか?」 春M:(恋愛…貴臣とやり直せたらどんなに良いだろう。だけど、そんな事は望んじゃいけない。) 口端をキュッと結ぶ春。 春:「申し訳ありません。急用を思い出したので、今日はこれで失礼します。」 さっと手を引き、軽く会釈をして、足早に店を後にする春。 春の後ろ姿を呆然と見送る貴臣。 貴臣M:(え?もしかして帰ったのか?…しくじったぁあーー!!) 予想外の展開に項垂れる貴臣。

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