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本編 12
○貴臣のマンション・玄関前(夜)
玄関前でうろうろとしている春。
春M:(来てしまった。お客とキャストの一線さえ超えなければ…少しの間だけなら許されるよな…)
「ピンポーン…」意を決して玄関のチャイムを鳴らす春。
「ガチャ…」玄関の扉が開く。
信じられない面持ちで春を見つめる貴臣。
貴臣:「えっ…春…?」
春:「顧客リストに住所が…」
貴臣:「と、取り敢えず入って…下さい。」
○貴臣のマンション・リビング
珈琲が置かれたテーブル。向かい合わせで正座をしている二人。
気不味い雰囲気が漂っている。
春:「昼間は急に帰ってしまってすみませんでした。」
貴臣:「俺の方こそ、いきなり手とか握っちゃって…」
ばつが悪そうに頭を掻く貴臣の姿に、安堵する春。
春:「あの…先程の返事をしに来ました。」
貴臣:「あ、はい。」
貴臣M:(わざわざ断りに来たのか。昔振った相手に恋愛しませんか?なんて言われたら、そりゃ引くよな。)
春:「レンタル彼氏としてで良ければ…」
遠慮がちに言葉を紡ぐ春。
貴臣:「はい?」
春の言葉の意味が理解出来ず、きょとんとする貴臣。
春:「俺と恋愛しませんか?」
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