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本編 22
無理に口角を上げる春。
春の両頬に手を這わせ、優しく諭す様に言葉を紡ぐ輝一。
輝一:「お前は汚れてなんかいない。勝手に駄目だと決めつけて、幸せを手放そうとするな。」
春:「輝一…」
輝一:「知ってるか?ウチの社名"Greets spring"ってのは、"春を迎える"って意味なんだぞ。長い冬を乗り越えて、お前が春を迎えられるようにと願って付けたんだ。」
春:「うっ…うぅ……」
彼を引き寄せ抱き締める輝一。
輝一の胸の中で咽び泣く春。
輝一:「本当に奴を好きなら逃げずに向き合え。分かったな?」
春:「うん…うん…」
輝一M:(もしも駄目だったら、俺の元へ来い。なんて…言える筈もない。俺にはお前を愛する資格なんて無いのだから…)
春の髪を撫でながら、やるせない表情で天井を仰ぎ見る輝一。
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