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本編 23
○BAR(夜)
薄暗い照明の店内。壁際のテーブル席で向かい合わせに座っている貴臣と春。
貴臣:「もう、会ってくれないんじゃないかって思ってた。体調は良くなったのか?」
春を優しく見つめる貴臣。
春:「うん…一週間も連絡しなくてごめん。」
春M:(全て話すと決めた。逃げちゃ駄目だ…)
緊張した面持ちで貴臣を見つめる春。
春:「あのさ…この前の話だけど…」
客:「あれ?もしかして優ちゃん?」
店に入って来た客へ視線を移す。目を見開き、固まる春。
客:「やっぱり、優ちゃんだ。輝一君と急に店を辞めちゃったから、寂しかったよ。」
拗ねた表情を浮かべる客。
貴臣:「あの…人違いじゃないですか?彼の名前は優では無いですよ。」
訝しげに客を見つめる貴臣。
俯き黙り込む春。
客:「ああ、ごめんごめん。つい、売り専時代の源氏名で呼んじゃった。」
貴臣:「…は? アンタ何言ってんの?」
怒りの表情を客に向ける貴臣。
客:「もしかして…言っちゃマズかった?」
気まずそうな表情で春へ視線を向ける客。
強ばった表情で客へ一礼し、店から出て行く春。
慌てて後を追う貴臣。
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