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第1話・似た人。
しかし、綾人は達することを望まない。
彼との行為が終わってしまえば、後に残るのは虚しい現実だ。
たとえ想像の世界だったとしても、彼と繋がることができたという悦びはすぐに消え去る。
だからこそ、綾人はできる限り、中に埋める陰茎を自分の中に挿れておきたかった。
「んっ……。お願い、もっと僕の名前を呼んで……」
快楽に溺れる綾人が喘ぎながら強請 ると、薄い唇がひらく。
「綾人」
上から降ってくるのは大好きな人の声ーー。
「んっ、ああっ」
けれど彼は綾人の好きな人ではない。
彼は綾人の好きな人の性質に似た夜の相手。
それでも綾人は、有りもしない想い人のぬくもりを探し続ける。
(ーー離さないで……)
綾人は広い背中にしがみつき、相手の腰に両足を巻き付ける。
肌のぬくもりを感じながら、永遠に明けることがない夜を願って……。
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