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第2話・四年越しの片想い。

 綾人は、凌雅には本当の理由を隠し、ただ奨学金が下りるし経済学部はオールラウンドで卒業してからも文系にも進めるからという理由をこじつけ、図々しくも傍にいる。  綾人が凌雅と共に受けている経済史の講義は二時限目の十二時からで、いつもより少しはゆっくりできる。  それでも身体は気だるさを隠せないのは、毎夜、凌雅を重ねて別の男に身体を開いているからだ。  好きな人の面影を求めて身体を開くこの行為はいつか止めなければならないだろう。  これを延々と繰り返せば、身体は(おろ)か、自分の心さえも見失い、やがては自滅する。  そんなことは十分理解している。  けれど四年越しの片想いはあまりにも深く根付いてしまった。  自ら終止符を打つことができなくなっていた。 「おはよう」  綾人が電車に揺られ、長い距離の間に二回ほどの乗り継ぎを経て、大学の第二号館まで辿り着くと、綾人はすっかり耳に焼き付いて離れない彼の声にはっとした。  綾人が振り向けば、そこには綾人の想い人、蝦名 凌雅が立っていた。  綾人とは違い、彼は正当な理由があって経済学部に所属している。  一限目の授業を終え、経済史の授業に向かう途中でたまたま出会した綾人に声をかけたのだろう。  それでも、待ち合わせもしていないのにこうして凌雅と会えるのは嬉しい。

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