10 / 41

第2話・if

 もしも今、好きな人がいると告げられたら……?  実は恋人がいると告白されでもしたら……?  凌雅は眉目秀麗だ。ある日突然彼女ができたとしてもおかしくはない。  自分が尋ねたこととはいえ、それが綾人をさらなる苦しみへと誘う。  しかし、凌雅の言葉は綾人が想像していたものとは違った。 「ん~、めんどいからいいや、お前いるし」  そう言って、彼は白い歯を見せて爽やかに笑う。  彼が告げたそれは、綾人のポジションこそが恋人であるという意味なのか。  何気ない凌雅の言葉で心が浮き立つような感情が湧き起こる。  しかし、逆に綾人を苦しめもする。  彼がこうだから、綾人は凌雅を諦めることができないのだ。  彼は優しすぎる。  そして、ひどく残酷だ。  凌雅のたったひと言で、綾人は一喜一憂してしまう。  おかげで綾人は今夜もまた、凌雅に似た男性を探して身体を開く。  そうして綾人は帰宅途中にある『EN-COUNTER』でどこか一箇所でも凌雅に似た男を引っかけるのだ。  しかし、その日常は間もなく崩壊する。それを綾人が知るのは翌日のことだった。

ともだちにシェアしよう!