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第5話・四年越しの告白

 綾人は嗚咽を漏らさないよう唇を引き結び、彼の腕から離れようとした。  しかし思いのほか肩を固定する手の力が強い。 「凌雅、離して……もう、大丈夫だから。貴方の前には今後一切現れない……だから安心して……」  大学の編入も考えなければーー……。  凌雅とはもう二度と会わない。  それを決意した途端、とうとうはしばみ色の目から大粒の涙がこぼれ落ちた。 「綾人?」  涙を流す綾人の顔を心配そうに覗き込む凌雅が恨めしい。  早くここから去らなければーー。  これ以上優しくされたなら、『好き』という気持ちがさらに大きく膨らんでいく。  この気持ちが大きくなればいったい自分はどうなってしまうのだろう。  凌雅に溺れてしまう自分が恐い。 「ごめん、だけどひとつだけ……貴方を好きでいることを許してほしい」  好きな人の代わりを探し、凌雅に抱かれる夢を見て、彼を穢した。  こんなに汚い自分だけれど、それでもこの気持ちだけは大切にしたい。  綾人は、四年越しの恋を告げるため、震えた唇で紡いでいく……。 「綾人? なにを言って……」 「凌雅を好きになってごめんね、ごめんなさい。同性に何言ってるんだって思うよね。気持ち、悪いよね」  だから早く離してほしい。  もう優しい言葉なんてかけてくれなくてもいい。  冷たくあしらって、嫌いだと言って。  そうしたら自分はきっと……今でなくてもいつの日か、凌雅を忘れられる日が来ると思うから……。  綾人は願いを込めて胸板を押す。  すると、凌雅はまだ困惑気味のようで、綾人に尋ねた。

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