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第16話

 リビングでくつろいでいた碧生の父、秀樹さんに挨拶をして、階段を上る。  2階の一番奥の部屋が、碧生の部屋。  …久しぶり過ぎて、なんか緊張する。  ドキドキと速まる心臓を抱えながら、ゆっくりとドアノブを回した。    真っ青のカーテンと、ベッドと、綺麗に揃えられた本棚。  机の上には、厚い本が何冊も積み重なっている。  …昔と、全然違う。  高校生の、碧生の部屋。  嬉しいような、少し淋しいような。  なんか、変な感じ。  ふぅ…と緊張を吐き出して、ベッドの上に座った。  しばらくして、バスタオルを肩に掛けた碧生が戻って来た。  こないだとは、色違いのパジャマを着ている。  碧生はプライベート空間に居座っている俺を見て、驚いたように目を見開いた。 「碧生、お邪魔してるよー」 「…びっくりした」  少しずれた眼鏡を直しながら、少し離れた学習机の椅子に座る。  ふわりとシャンプーの甘い香りが鼻を掠めて、…やっぱ小学生の頃とは違うよなぁと改めて実感した。 「…どうしたの、毬也」 「優子さんにメロン届けに来たの。まだ23時前だったから碧生起きてるかなって思って」 「…そんな早く寝ない」 「そうなの?碧生、いっつも21時前に寝てたじゃん」  ケラケラ笑うと、一瞬で碧生の顔は真っ赤に染まった。  頬を膨らまして、拗ねたように俺を睨む。  その顔も、絶対俺にしか見せないものだ。 「…小学生の頃とは、違う」 「そうだねぇ、碧生ももう17歳だもんねぇ」 「毬也だって、同じ」 「んー、俺はまだ16歳。早生まれだもん」 「……3月14日」 「ん、覚えててくれたの」 「……うん」

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