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第19話
次の日の朝。
「今日から、部活ある」
どうやら、先週は指導者不在でお休みだったらしい。
学校へ向かっている最中に、碧生は少しばつが悪そうな顔でそう言った。
なんで、そんな顔をするんだろう。
昨日言ったとおり、部活のある日に一緒に帰れないのは仕方ないと思う。
礼二だってヤスだって、約束をしている訳じゃないけど、毎日一緒に帰ってる。
でも、用事が有る日は一緒に帰らない。
当たり前のことだよ。
「りょーかいー」
俺は、大きな欠伸をしながら答えた。
眠たい授業受けて、休み時間にはみんなとワイワイ話して、笑い合って、一日はいつも通り進んだ。
相変わらず碧生は分厚い本を真剣な顔で読み、休み時間に俺たちの輪の中に入っていた。
入る…といっても俺たちが碧生の机の周りに集まるのだから強制的ともいえるが、もうすでに『いつも通り』だろう。
「まりー、今日暇だよな」
学校生活終了のベルが鳴り響いたと同時に、ヤスが俺の元へ駆け寄り肩を組まれる。
碧生がちらりと俺の方を見て、すぐに教室から出て行ったから、部活へ行くんだなと分かった。
「…暇だったら、なに」
「宇仁女子高の子たちとカラオケ!杏奈ちゃんとか覚えてるだろ、可愛い子いっぱい連れて来てくれるって」
「ふーん」
「まり、珍しく彼女作ってないし、女の子に飢えてるだろ~」
「…別にそういう訳じゃないよ」
「もちろん行くよな!まりは絶対呼んでってお願いされてるんだよー」
肩に回した腕に痛いほどの力を込めて、なかば『断定』気味にお願いするヤス。
ヤスは、顔が広い。
元彼女は何人かヤスの知り合いだったし、俺に彼女がいるいないにかかわらず毎日のように合コンのようなものに連れて行かれた。
おかげで、俺も友好関係が広くなったし、別れて間もなく彼女が出来たりしてたんだけど。
宇仁女か…。確かに、杏奈ちゃんは今でもラインとかしてるけど。
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