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第21話
「…は?」
反論する間もなく、教室のドアが閉められた。
まじかよぉーーーと廊下に響き渡る声で叫ぶヤスの声が、徐々に遠ざかって行く。
…拗ねてる?
誰が?なんで?
確かに、最近は碧生と一緒に帰ることが習慣化されてたよ。
ずぅっと昔から欠かさずそうしてきたような…、懐かしい癖のようで、当然のことだとか勝手に勘違いしてたよ。
それは、認める。
でも、碧生から部活だと言われた時、仕方ないし、それも『当然』のことだと納得してた。
一緒に帰れないと淋しげな碧生に、「まいっか」って答えた。
別に家に帰ったって会おうと思えば会えるし、そこまで無理に会う必要もない。
碧生は彼女でも女の子でもない。
おとこのこで、幼馴染だ。
それなのに、なんで礼二の言葉に…なんかしっくり来てるんだろう。
今の気分はその言葉だ!って、心が頷いてるよう。
拗ねてる。
…うーん、…拗ねてるのかな。
だから、遊びに行く気にもならないの。
碧生に、かまってほしいのかなぁ…俺。
結局、考えても自分の感情なんか分からない事ばかりなので、答えは出ないと知っていた。
だから、それでいいかと思った。
昔なら、俺に用事が有って碧生が拗ねるって感じだったのに。
その違和感が、きっと心をモヤモヤで包んでちょこっと落ち込ませてる。
…拗ねさせてるんだな。
うん。俺はきっと今、拗ねてるんだ。
感情の名前が分かってすっきりしたけど、動き出す気になれなくて机に伏せたままぼんやり外を眺めていた。
近寄って来た女の子の何人かと話したり、先生に「うわっなんで藤井がまだ居るんだ…」と腰を抜かしそうなくらい驚かれた。
それでも、やっぱり腰を上げれなくて、生温かくなってしまった机に頬をくっ付けていた。
…何やってんだろ、俺。
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