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第25話
「…番号もなんも聞いてない」
「へぇ、電話好きなあんたがね。あーそっか、電話やラインは女の子としかしないのか」
「そんなことないよ、礼二ともヤスともしてる。それより、早く教えてよ」
「なんで」
「なんでって…、碧生に連絡したいから」
「明日学校で話せばいいじゃない。『仲直り』したんだし」
「い、今、話したいの」
「嫌。わたしは教えない」
「なんで!教えてよ」
「あんたが直接聞きなよ」
「明日になっちゃうじゃん」
「まだ0時前よ?」
「……こんな夜に、お隣に行けっていうの」
「じゃあ、明日にしたら」
「意地悪!」
「だって、あんたが悪いのよ。碧生の番号知らないのも、知ろうとしてなかったのも」
「…」
「少しは自分で行動したら?わたしは加担するつもりはないから」
「おやすみ」と吐き捨てるように言われ、バタンッと大きな音を立ててドアが閉められた。
つまり、百合亜ちゃんはこう言いたいのだろう。
『あんたが自分勝手に離れて、自分勝手に戻ったんだから、自分でどうにかしろ』
と。
百合亜ちゃんは昔から、俺のことを絶対に甘やかさない。…ほんのちょっとくらい甘やかしてくれてもいいのに。
それでいて馬鹿な俺に小さなヒントをくれるから、俺は絶対に百合亜ちゃんには逆らえないのだ。
逃げ腰で間接的な方法を選ぼうとした俺に怒ってるんでしょ。
…分かったよ、自分で行動すればいいんでしょ。
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