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第27話
ベッドの上に座ってじぃっと碧生の顔を見つめる俺に、碧生は首を傾げる。
「毬也?」
「あ、…ううん、カラオケには行ってないよ」
「そう」
「ね、碧生」
「ん」
「部活って、これから毎日あるの」
「…うん、日曜日以外」
日曜以外って、一週間7日の内6日も?
忙しすぎじゃないの、碧生。
「大変だね」
「もう慣れた…けど」
「けど?」
碧生が考えるように俺の顔から視線を外した。
長い睫毛が、何度かゆっくりと上下に動かされる。
戻された目は、よく知っている、俺だけに向ける淋しそうな、拗ねたような目。
…やっぱり、碧生は変わってない。
「…毬也と一緒に帰れないのは、…少し淋しい」
ぽつりと、落とされる言葉。
どくんっと心臓が大きな音を立てて、跳ねた。
そして、また音楽棟の時のようにぎゅぅっと苦しくなって、どどどっと早鐘のように鼓動が暴れる。
なに、なんなの、これ。
こんなの、初めて。
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