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第30話

 * 「最近、まりの付き合いが悪すぎる」  そう言って、ヤスは口を尖らせた。  周りのおんなのこたちも呼応するように「そうだよー、最近まり君と遊んでないー」とヤスと同じ顔をする。  俺が「はは」と困ったように微笑むと、ヤスは更に俺を睨み付けた。 「なんなの、最近!いつ誘っても行かない、気分が乗らないーって!!まりらしくない」 「…まぁ、俺も落ち着きたいっていうか」 「落ち着くってどういうことだよ!彼女出来たのか?どこの誰!」 「出来てないって」 「嘘吐け!なんだよ、俺に内緒なのかよ!!親友の俺に内緒事かよぉ~」  ヤスは教室全体に響き渡るほど涙混じりの声で叫び、碧生の肩に腕を回した。  いきなりヤスの体重を感じた碧生が、ビクッと身体を揺らす。  …って、馴れ馴れしく碧生に触るな。ヤス。 「な、ひのっちなら知ってるだろ?まりの本当のところ」 「…本当?」 「内緒にしたいほど、かっわいい彼女が出来たんだろ?そうなんだろ?」 「……」  ヤスの勢いに、碧生は難しい表情で視線を床へ落とし、何度も高速の瞬きをした。  何と返していいのか真面目に考えてるようで、口を小さく動かす。  ほら、碧生が困ってるじゃん。  はぁ…と小さく溜め息を吐き、ヤスの腕を掴む。  優しく碧生の肩から外し、机の上に乗せた。 「彼女はいません。あまり碧生を困らせないで」 「じゃあなんでだよ、なんで遊んでくれないんだよ」 「なんでって」  放課後は図書館行ったり、保健室で千早先生と話したり、料理部の子にお菓子貰ったり。  碧生が部活終わるのを待つために、忙しい。  それを言うと、深く突っ込まれてめんどくさそうなので止めた。

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