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第43話
放課後、ずぅっと補習なんて有り得ない。
誰とも遊びに行けないなんて、死ぬ。
そんなくだらないことを散々騒いだ挙句、事態を打破するために心底くだらないことを言い出したのだ。
「頭の良い奴らに、少しは協力してもらおう!」
頭の良い奴ら=礼二と碧生。
二人に問題で出そうなところをヤマ張ってもらって、一日がかりでどうにかしようという方法。
せっかくの(碧生が休みである)日曜日に、何言ってんのヤス。
拒否をしてみたものの、ヤスの覚悟は本気だった。
結局、全力で土下座をするヤスに優しい碧生が断れるはずもなく、勉強会が開催されることが決まった。
一つ、救いといえば、女の子を誘わなかったことくらいだろうか。
「ふわーっ、ぜんっぜんわかんねぇええっ」
テーブルに額を当て、ヤスが涙混じりに叫ぶ。
…あー、今日に限ってどうして百合亜ちゃんが出かけてるんだろう。
百合亜ちゃんが居てくれたら、「五月蠅い!」と怒鳴りこまれて、そこで解散になるのになぁ。
でも、…。
礼二は読んでいた本から目を離さず、「はぁ…」と小さな溜め息。
ヤスの向かいに座った碧生は、オロオロと瞬き多めにそんなヤスを見て、声をかけようか無視をしていいのか悩んでいる。
…いいよ、碧生。
ヤスなんか、無視しちゃって。
俺はベッドの上に寝転がって、三人の様子を眺めていた。
「…もう駄目だ、俺は絶対に補習なんだ…補習か…嫌だな、せっかくアキノちゃんと二人でデートする予定だったのに…」
「アキノちゃんってこないだカラオケ行った時に来たあのおとなしい子か」
「そうそう、あの後ずぅっとメールやり取りしててさ…やっとデートするって話になったのに…」
「へぇ、珍しいね、ヤスが女の子と二人で遊ぶ約束するなんて。その女の子が出来た子なのか」
「まりに言われたくない…!まぁ、まりが遊んでくれなくなったおかげで俺にも運が向いてきたんだぜ!!」
ふふんっと得意げに鼻を鳴らすヤス。
「なぁに、その子と付き合うの?」
「付き合うって、そんな!わかんねーよ!!俺は…今すぐにでも付き合いたいけど」
「ヤスとは合わない気もするがな。あの子は少しおとなし過ぎだ」
「あー、多分ヤスに疲れてすぐに別れるパターンだね」
「ひ…ひでぇえっ!」
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