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第46話
なんで。
やだ、まじどうしちゃったの俺。
俺の方へ目を向けていた三人が一斉に不思議そうな顔をしたから、やばいっと心が焦る。
誤魔化すように「なんかおなかすいちゃったなぁ」と言ってみたら、礼二が「さっき食べただろう」と苦笑してくれた。
それでも、ヤスの興味は碧生から離れなかった。
碧生からこんな話が出来るのが珍しいから、楽しくて仕方ないんだろう。
…それは、わかるけど。
「じゃあー、ひのっちはどんな子が好みなの?」
聞きたくない。もう止めてよ。
言いたいけど言えない。
そんなことを言ったら、余計おかしいと思われちゃう。
あぁ…、もう早くこの話題終わって。
祈るような思いは、床に座る三人には当然通じていない。
「…好み?」
「そうそう、身長は低め?高め?」
「…別に」
「じゃあ、性格は?元気な感じ?真面目?」
「………どっちでも」
「恰好は?かわいい系?ギャル系?」
「…わからない」
「うーん、顔は?芸能人とか」
「……知らない」
「あー、じゃあうちの学校だと?」
「…」
「ちなみに、まりは元カノの優樹菜ちゃんで俺はE組の牧田さんで」
「…」
「礼二は、百合亜様だったよな?」
「あぁ」
「…止めてよ、俺の姉ちゃんだし」
「百合亜様はうっつくしいもんな~」
「あぁ、キレイだよな」
「……ゆりあ」
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