46 / 138

第46話

 なんで。  やだ、まじどうしちゃったの俺。    俺の方へ目を向けていた三人が一斉に不思議そうな顔をしたから、やばいっと心が焦る。  誤魔化すように「なんかおなかすいちゃったなぁ」と言ってみたら、礼二が「さっき食べただろう」と苦笑してくれた。  それでも、ヤスの興味は碧生から離れなかった。  碧生からこんな話が出来るのが珍しいから、楽しくて仕方ないんだろう。  …それは、わかるけど。 「じゃあー、ひのっちはどんな子が好みなの?」  聞きたくない。もう止めてよ。  言いたいけど言えない。  そんなことを言ったら、余計おかしいと思われちゃう。  あぁ…、もう早くこの話題終わって。  祈るような思いは、床に座る三人には当然通じていない。   「…好み?」 「そうそう、身長は低め?高め?」 「…別に」 「じゃあ、性格は?元気な感じ?真面目?」 「………どっちでも」 「恰好は?かわいい系?ギャル系?」 「…わからない」 「うーん、顔は?芸能人とか」 「……知らない」 「あー、じゃあうちの学校だと?」 「…」 「ちなみに、まりは元カノの優樹菜ちゃんで俺はE組の牧田さんで」 「…」 「礼二は、百合亜様だったよな?」 「あぁ」 「…止めてよ、俺の姉ちゃんだし」 「百合亜様はうっつくしいもんな~」 「あぁ、キレイだよな」 「……ゆりあ」

ともだちにシェアしよう!