47 / 138
第47話
ぽつりと、碧生が呟く。
もちろん、それをヤスは見逃さなかった。
「なになに、ひのっちも百合亜様の顔が好みなの~?」
「…」
ぶんぶんっと、首を横に振る碧生。
なんとなく、心の底からホッと安心する。
さすがに身近過ぎる人が好みとか言われたら…なんかショックだし。
あぁ、でも、他の子の名前が出ても…。
って、何考えてるの、俺。
別に、碧生の好みなんて関係ないじゃん。
…関係ないし。
ズキズキと、心はやっぱり痛い。
「じゃあ、今度の合コンはひのっちも行こうぜ~!かわいい子揃えるからさ」
「…ごう、こん?」
「あぁ、他の学校の女の子とご飯食べたり遊んだりするんだぜ」
「…」
「ヤス、碧生君が困ってるだろ」
「だって、ひのっち実はすっげーモテるんだぜ!礼二も知ってるだろ」
「まぁな」
碧生がモテる…?
「…」
「まりや礼二までではないけど、結構クラスのやつらとか騒いでるし」
「…」
「だからひのっちも連れてくー!そっから、好みの子とか見つければいいじゃん」
碧生が、ちらりと俺の顔を見た。
相変わらずの無表情だから、何を訴えたいかは分からない。
けど。
ともだちにシェアしよう!