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第48話
「それは、駄目」
はっきりそう伝えると、ヤスは驚いたように目を見開いた。
意識的にヤスだけを見て言ったから、碧生がどんな表情になったかは視界の端過ぎて分からなかった。
「はぁ?なんでまりがそんなこと言うんだよ!」
「なんでって、…碧生に迷惑」
「そんなん、ひのっち本人から聞いてないし」
「駄目だよ」
「はぁあー?なんだよ、自分が最近遊びに行かないからってまりには関係ないだろ!」
「関係あるよ。幼馴染だし」
「幼馴染だからって関係ないだろ。ひのっちが誰と遊ぼうが」
「関係有るよ」
「ねーだろぉ、普通!意味わかんねーし」
「ある」
「あぁっもう!じゃあ、ひのっち誘うにはまりの許可が必要だっていうのかよ」
「当然じゃんっ!」
思わず、大声を張り上げてしまった。
三人の顔がまた俺に集まって、ぽかんと言葉を失って見つめる。
…やばい、なんか俺、変だった?
でも、碧生はそういうの苦手なのは確かだし、碧生からはっきり断るのは性格的に無理だろうし。
俺が碧生のこと大切に思ってるのは、ヤスも礼二も知ってる。
…碧生だって。
それなのに。
なんで、碧生もそんな顔するの。
……俺、……そんなにおかしかった…?
足のつま先から一気に込み上げたのは、叫ぶ出したくなるほどの羞恥だった。
自分でも分かるほど、一瞬で顔が赤く染まって行く。
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