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第49話

 もう、やだ。  なにこれ、なんなの。  逃げたい。 「おっ俺、コンビニ行ってくる…っ」  三人の反応を見ないまま、部屋から飛び出して階段を駆け降りた。  全速力で家から外に出て曲がり角を二つ曲がったところで、電柱に寄りかかる。  心臓が動くたびに恥ずかしさが込み上げて、死にそう。  頬に当たるコンクリートの筒がやたらに冷たく感じて、余計に辛くなった。 「…はぁ」     冷静に考えてみれば、あの時俺の顔を見た碧生は多分「行った方がいいかな」という伺いの視線だったのだろう。  自分が行かないと、俺が行かない。  碧生はそれを知ってるから。  俺は来て欲しくないと思った。  女の子に囲まれて、誰かと話す碧生なんて見たくない。  でも、ヤスの言うとおりだ。  碧生は大切だけど幼馴染なのだから、俺に許可取る必要なんてない。  俺がいないところで何をしてたって、俺には関係ない。  碧生がモテようが、誰に告白されていようが、どんな顔が好みだろうが関係ない。  誰と付き合おうが、…関係ない。  それなのに、なんでこんなに苛立ちが込み上げるの。  気持ち悪いくらい、胸が締め付けられるの。  しまいには、碧生を抱き締めたいと思ったり、キスしたいと思ったり。  碧生は男だよ。  同じ、…男なのに。  胸元のシャツをぎゅうぅと破れるくらい握って、大きな深呼吸を繰り返す。  タッタッと、靴の道路を蹴る音が耳を通り過ぎて、俺の横で止まった。

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