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第61話
「私は賛成よ!むしろ応援しちゃう」
「……それはどうも」
「ま、大いに悩めばいいんじゃない?どうせ初めての恋なんだろうし」
「…」
「初恋は実らないっていうしね、精々右往左往しながら頑張って」
「…ひどいよ、百合亜ちゃん」
「今まで女の子の本気を弄んできたんだから、少しは本気の辛さを味わうがいいわ」
返す言葉もない。
弄んではいないけど、本気の恋とかよく分からなかった。
辛い。苦しい。痛い。たまに、嬉しい。
みんな、こんな思いを抱えていたんだろうか。
…でも、
「……本当に、この気持ちが恋ってやつなのかな」
「知らないわよ。それはあんた自身の問題でしょ」
「……わかんないんだもん」
「うざい」
「…」
「あぁ、でも良い方法があるわよ」
「…なに」
「今晩でも、抜くときに碧生のこと考えてやってみたら?」
「…」
「それで抜けたら、きっと恋ね」
まさか、女の子からそんな言葉聞く日が来るなんて。
ぽかんと口を開けたままあっけにとられていると、百合亜ちゃんは「私が熟睡してからにしてね」と一言残して部屋を出て行った。
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