「……」 「碧生と一緒に登校したかったの。迷惑だった？」 「…」 　ふるふると、大きく首を横に振る碧生。 　あー、ほんとかわいすぎ。 　今、目の前の碧生が女の子だったら手を繋いで歩けるのに。 　でも、碧生が女の子だったらきっと好きになってないんだろうな。 「…毬也？」 　余りに碧生の横顔を見つめすぎていたのだろう。 　碧生が覗き込むように首を傾げる。 　あーダメダメ。 　今この場で、キスしちゃいたい。 　はぁ…と自分を制するように息を吐き出した。 「ううん、なんでもない」 「……変な毬也」 「そんなことないよ」 　 「…」 「あっ、そういえば碧生は数学の宿題やってきた？」 「うん」 「教室着いたら、見せて」 「…やだ」 「なんで、お願いっ」 「……毬也、いつも宿題やってない」 「明日からちゃんとするから！お願い、碧生」 「……俺でいいの」 「うん、碧生に見せて欲しい」 「……今日だけ」