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第83話

「…毬也…?」 「碧生。…碧生、俺ね」 「…うん」 「…俺の好きな人は、」  時に、タイミングは忌々しいほど悪魔の微笑みを浮かべる。  いや、相手が百合亜ちゃんなのだから、本当に悪魔なのかもしれない。 「まりーっ」  勢いよく部屋のドアが開かれ、緊張して強張っていた空気はとび蹴りを食らったかのよう破られた。  百合亜ちゃんは碧生の姿を捉え、にっこりと笑う。 「あら、碧生。来てたの」 「…百合亜」 「勉強中?ごめんね、お邪魔して」  意味深に、俺の顔を見て言う百合亜ちゃん。  …ほんとにね。  本当に邪魔されたよ。  今まさに、告白するとこだったんだよ、俺。  ぎゅぅっと恨みを込めて睨み付けてみたけど、百合亜ちゃんはそよ風のように流して、碧生の横に座った。 「ちょうど良かったわ、碧生。話したいと思ってたの」 「…なに」  百合亜ちゃんがテーブルに肘をついてじぃっと碧生の顔を見つめる。  分かりやすいほど一瞬で、碧生の顔がほんのりピンク色に染まった。  …何、その顔。  なんで、百合亜ちゃんにそんな顔するの。  まさか、実の姉にやきもちをやく日が来るなんて。

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