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第86話
百合亜ちゃんと碧生が仲良しで、二人で石を交換し合っていて…。
確かに、百合亜ちゃんにとっても碧生は幼馴染で、…仲良しで。
中学時代に、もしかしたら俺の知らない所でずぅっと仲を深めていたのかもしれない。
…そんなの、俺が文句言える立場じゃないんだ。
中学の頃、手を離したのは、誰でもない俺自身なのだから。
「…毬也?眠い?」
「……ううん」
「大丈夫?具合悪い?」
そんなひどい顔してるんだな、俺。
あぁ、もう。
苦しくて、吐きそう。
そんなのばっかり。
碧生に恋してから、そんな気持ちばかりで、辛いよ。
無意識に、視線をテーブルの上に置かれた『石』に固定してたらしい。
碧生はそれに気付いて、「あぁ」と人差し指でそれを転がした。
「…中学の頃、百合亜と交換した」
「へぇ」
「お互い、お守りに持ってた」
「…ふーん」
もういいよ、碧生。
もう、止めて。
それ以上は、聞きたくない。
…そんな嬉しそうな、懐かしそうな顔。
俺以外のことを考えて、しないで。
「ねぇ、碧生」
「なに」
「…百合亜ちゃんのこと、好きなの?」
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