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第92話

 思えば、ヤスだって気を遣って、優しさで話しかけてくれたんだ。  みんな優しいから、最近のおかしな態度を見て見ぬふりしてくれて…。  …碧生だって、心配して何度も聞いてくれてた。  恋って、本当に大変なんだ。  だから、誰かに聞いて欲しくなるんだね。  ふぅ…とゆっくり息を吐き出して、真面目な顔で礼二に向き合う。  他人に、恋の話するのってすごく緊張する。  誰かに話しちゃうと、もう後戻り出来ない。  百合亜ちゃんに話した時は、まだ認めてなかったから、初めての告白。  ドキドキ、ドキドキ。  心音と一緒に、誰かに恋をしているという満足感と色とりどりの不安感も込み上げる。    …後戻りする気はないから、いいか。 「…実はね」  少し笑いを交えながら、最近あったことを全部話した。  中学に有った碧生との出来事。  碧生を好きだと気付いたこと。  意識したら、すごくすごく碧生が大好きで仕方ないってこと。  …百合亜ちゃんとのこと。  途中で授業が始まるチャイムが鳴ったけど、お互い何も言わずにさぼることを決めた。 「…そうか」  礼二が、呟くように頷く。 「……礼二は、中学の百合亜ちゃんと碧生のこと…なんて知らないよね」 「…知らないな。生徒会でも百合亜から碧生君の話を聞いたことはないぞ」 「だよね。…やっぱ、碧生の片思いなのかな」 「それは…分からないが。碧生君に聞けないんだったら、百合亜に聞いてみればいいんじゃないのか?」 「……」

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