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第98話

 優樹菜ちゃんは何か迷うように視線を外して、下唇を噛んだ。  あ、なんかこの光景もちょっと懐かしいかも。  優樹菜ちゃんがよくしていた癖のような表情だ。  それにしても、やっぱ女の子の身体って華奢だよな。  碧生も細いけど、全然違う。  骨格がこう…とまで考えて、碧生を抱き締めた時のことを思い出してしまった。  ダメダメ、落ち着け、俺。  ひとり首を横に振ると、優樹菜ちゃんが困ったように微笑んで首を傾げた。   「…まり君?」 「えっ、いや、…なんでもない」 「ふふっ、変なまり君」 「…ごめん」 「んーん。…やっぱり、まり君最近おかしいね」 「えっ」 「まり君、最近何か悩んでるでしょ?」 「…」  なんで、クラスが離れている別れた元カノにまでそんなことを…。  俺、そんなに分かりやすい態度だったのかな。  ちょっと、恥ずかしい。  思ったことが顔に出てしまったのであろう。  優樹菜ちゃんは慌てて首を振り、見当違いの言い訳をした。 「違う、違うよ。ストーカーとかはしてないからっ」 「え、…えっと、…うん」 「そうじゃなくて…、その…、すれ違った時とか遠くから見かけた時とか…、まり君見てたら普段と違ってたから」 「そっか…、…俺、」 「えっ、いいのっ。私、まり君の悩みを聞きたいなんてそんな出しゃばった真似しようと思った訳じゃないよ」 「…」

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