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第115話

「…百合亜ちゃん、どうしようぅう」 「えっ、ちょ…、どうしたの碧生」 「こ、告白したら、倒れちゃった」 「はぁ?」 「どうしようーっ」  半べそで動揺しながらの俺の説明に、素早く状況を把握してくれた百合亜ちゃん。  碧生を俺のベッドに寝かせてベルトを緩めるよう指示してくれ、自分は洗面器とタオルを用意してくれた。  やっぱり、俺のお姉ちゃんは頼りになる。  可愛くて、頭が良くて、かっこいいよ。  …ありがとう、百合亜ちゃん。 「…ほんと、馬鹿よ」  ほんのり赤みの残る真っ白な顔で横たわる碧生を見つめ、百合亜ちゃんが呟く。 「ありがとう、百合亜ちゃん。…ごめんね」 「…別に、あんたに謝ってもらう筋合いはないわよ」 「うん、でも…、迷惑かけちゃったし、色々と」  俺のやきもちのせいで、百合亜ちゃんに嫌な役割をさせてしまった。  泣かせてしまった。  昔みたいに、3人で仲良くしたい。  そう言ったのは俺自身だったのに、覆してしまったのも俺自身。  本当に、馬鹿だよね。  百合亜ちゃんは「はっ」と小さく鼻で笑った。 「…あんたのためじゃないわ」 「え」 「碧生のためでもない。…自分のためよ」 「……それって」 「あんたさ、私と碧生が付き合ってたんじゃないかって疑ってたんでしょ?」 「…え」 「しかも、私から振って碧生がまだ引き摺ってる…とか思ってたでしょ」 「…う」  百合亜ちゃんが心の全部を見透かすような眼で、俺を見る。  …全部、ばれてたんだ。  他人に内心を暴かれると自分がものすごくちっぽけな人間に感じて、すごく恥ずかしい。  「ははは」と誤魔化すように笑うと、百合亜ちゃんは表情を変えずに続けた。

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