116 / 138

第116話

「反対」 「え?」 「…私が碧生を好きだったの」 「……、えっえぇえっ」  ゆ、百合亜ちゃんが、碧生を好き…!?  えぇっ、それって、…ええっっ  突然の告白に大声を上げてしまった俺に、百合亜ちゃんは眉根を寄せ思い切り睨み付けた。  思わず、ハッと口を押えると、百合亜ちゃんはまたはぁ…と呆れたように溜め息を吐く。 「中学の時に告白したの」 「…そ、それで…」 「振られたわよ」 「……そ、」 「その時にあの石を交換したの。…都合のいい言い訳を付けてね」  百合亜ちゃんが、碧生に返していた真っ白の石。  中学の頃、お互いお守りとして交換したって碧生が前に言っていた。  …まさか、そんな事実があったなんて。  動揺で、心臓がドキドキ波打って痛い。  今日一日で、俺の心臓は少し寿命を縮めたと思う。  いや、恋をした時点で。  身体も心も、いっぱいいっぱいになってばかりだ。 「…碧生が百合亜ちゃんを振るなんて…」  想像すら出来ない。  だって、俺と同じくらい、すっごく仲良くて。  碧生は百合亜ちゃんにも心を開くよう笑っていて…。  そんな百合亜ちゃんを振っちゃうくらい、碧生には好きな人がいるのだろうか。  誰…?  もしかして、俺が全然知らない人…?  心の声が、全部顔に出ていたんだろう。  百合亜ちゃんに、また鼻で笑われた。

ともだちにシェアしよう!