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第123話

「あっ、碧生…、本当に本当に?」 「…」 「本当に俺のことが好きだったの?俺?」 「……そう言った」 「好きな人って俺だったの?中学の頃から?えっ、今も?」 「……毬也」 「ずっと好きだったの?本当に?」 「………毬也、しつこい」 「えっ、だって…碧生が俺のことを好きだったなんて…信じられないよ」 「……俺の方が信じられない」 「そんなことない。俺だってずっと悩んでて辛かったんだもん」 「……俺の方が悩んでた」 「俺だよぅ」 「…俺」 「俺!」 「…俺」 「俺だってばぁ」 「…俺」 「いや、俺っ!だって初めて誰かを好きになったんだよ」 「おっ、俺だって…小さな頃から毬也だけ…」 「…っ」  こっぱずかしい言い合いに終止符を打ったのは、顔を埋めたまま掠れた声で吐き出された告白。  回されている腕には、ぎゅぅっと力が込められる。  疑う余地なんてない。これが答えなんだ。  …碧生は、本当にずぅっと俺だけを好きだった…んだ。  ドキドキと響く鼓動と合わせて、じわりじわりと現実に色が帯びてくる。  碧生が俺のことを好き。  これって、両想いってやつ…だよね。  好きな人と想い合えてるって。  …本当に、夢みたい。

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