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第127話
なんだ。
俺たち、同じこと考えてたんだね。
すごく、すっごく遠回りしちゃったんだね。
…碧生があんなに辛い想いを隠していたのかと思うと、もっと胸が痛くなる。
ごめんね、碧生。
百回言っても、足りない。
でも、大好き。
百万回言っても、足りない。
「…碧生」
「ん」
「俺は…中学の頃目先の楽しさしか見えなくてね、何も考えてなかった。碧生にすごくひどいこと言ったし、したよね」
「…」
「ほんと、ごめんね」
「…毬也が謝ることじゃない」
「ううん、ごめん。…でも、碧生がまた傍に居てくれるようになった時すごく嬉しかった」
「…」
「気付いたら、碧生しか見えなくなってた」
「…まりや」
「てか、俺、ほんと不器用だから…バカだし、碧生を困らすこともあるかもしれないけど」
「…」
「絶対離れたくないから。…ずっと傍に居てね」
ぎゅぅっと碧生の細い身体を抱き締める。
碧生は回された腕を手のひらで柔らかく包み込んでから、感触を確かめるように力を込めた。
「…俺は、毬也から離れたくない。ずっと傍にいたい」
「願望、じゃなくて断定で伝えてよ」
「……ずっと傍に居る。まりや」
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