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第129話

「おおーぅ、なんかまりが変わった」  ヤスが満面の笑みで俺の机に座り、顔を覗き込む。  その声につられるよう、礼二と数人の女の子が囲むよう俺の傍へ近付いた。  碧生は意識しているのか、ちらりと顔を向けただけで席から動こうとしない。  …思えば、こういう光景は久しぶりな気がする。  礼二に言われた通り、ここ最近余裕がなかったせいで休みをわきあいあいと過ごすことすらなかった。  …ごめんね、みんな。  頭を下げて謝りたいけど、それもちょっと違う様な気がした。  これから、もっともっとみんなを大切にすればいい。  友情だって、とても大事。  そういえば、それも碧生が教えてくれたよね。 「そう?変わらずかっこいいでしょ」  ふふふっと微笑み、ヤスの頭を突っつく。  ヤスは何故か、顔を赤くした。 「むっ…ムカつくくらいかっこいいのは知ってるよ!ばーかっ」 「あははっ素直だね、ヤスは」 「な、なんなの、まり。すっげーご機嫌じゃん」 「そんなことないよーん」 「あるよ!ある!!なぁ?」  話を振られた礼二は、「はは」と軽く笑って目を細める。  …礼二には全部気付かれてそう。  意味深な視線を送りながらも何も言わないから、余計にこわい。  何も気付いてないヤスは、足をバタバタさせながら続ける。  …俺の机の上で暴れないでよ、ヤス。 「わかった!わかったぞ、ついに彼女が出来たんだな」 「…彼女は出来てないよ」  彼女は、ね。

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