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第133話

「いくらまりがイケメンでモテるからって、男にまで手を出したらダメだろ」 「えぇっ…えっと…その」  「わかる、わかるぜ。俺だってまりだったら抵抗なく付き合えるけどな、でも」 「や、ヤス……お、俺は」 「ヤス、さらっとカミングアウトするの止めろ」  動揺し過ぎて何も言い返せない俺の助け船を、冷静な礼二が出してくれた。  ヤスの肩をぽんっと叩き、眼鏡の柄を中指で上げる。 「ヤス、毬也が幸せになるのは賛成だろう?」 「そっ!そりゃあ、大事な親友だぜ。幸せになるのは大賛成だよ」 「碧生君だって、同じだろう?」 「おうっ!ひのっちだって大事な親友だぜ」 「それならば、二人の幸せを応援してやろう」 「や、で、でもっ」 「な?」  礼二は背筋をも凍結させる氷の微笑みをヤスへ向けた。  有無を言わせぬ迫力に押し黙ったヤスは、「お、おう…」と深く頷く。 「と、いう訳だから、毬也。もう一度ちゃんと伝えてくれるか」 「…え」 「毬也の口からはっきり聞いたら、みんな認めるだろう。ね?」  ぽかんと口を開けたままフリーズしている女の子達に、礼二は優しく問いかけた。  我に返った女の子達は、「うんっ!もちろん」と可愛らしい笑みを浮かべる。  …女の子って、本当にすごいな。  でも、今はその柔軟性がすごくありがたい。  碧生の方へ顔を向ける。  女の子達以上に固まっていた碧生は、俺と目が合った途端耳まで真っ赤に染めた。  かわいい碧生。かわいい俺の恋人。  もう隠すことなんて、ないよね。  だって、俺たちの恋愛はなんの疾しいこともない。  本物の、『恋』なんだから。

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