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第134話

「碧生…」  碧生の横に立ち、熱い手をぎゅぅっと握り締める。  碧生は一瞬びくっと身体を揺らしたが、しばらくして握り返してくれた。  ふぅ…と深く息を吐き出し、吸い込む。 「俺、碧生と付き合うことになったから。みんな、温かく見守ってね」 「あぁ。おめでとう、まり、碧生君」 「くっくそっ、わかったよ!応援するぜ…まり」    何故か、ヤスは涙ぐんでいた。  教室全体からは、小さな悲鳴と拍手が沸き起こった。  碧生と目を合わせ、微笑む。  恥ずかしそうに瞬きを繰り返した碧生も、にっこりと微笑み返してくれた。  …みんな、ほんと優しいね。  大好き。  俺たちはきっと、みんなに支えられて幸せになるんだ。  一緒に幸せになろうね、碧生。  *  放課後。  「お祝いだー!」とヤスがあれだけこだわっていた宇仁女の子達を誘わずに、男4人とクラスの女の子達だけでカラオケに行った。  碧生は楽しそうだったし、嬉しそうだった。  ヤスに無理矢理曲を入れられて手を震わせながらも歌ったり、俺たちの馬鹿騒ぎに微笑みを浮かべていた。   前に同じメンバーでカラオケへ行った時とは、全然違う。  碧生は、変わった。  俺も、変わった。  あの時、俺はまた碧生と遊べることになっただけで舞い上がってて。  まさか、こんなに好きになるなんて考えてもいなかった。  『毬也の傍に居て、いいの』  そう聞いてくれた、碧生。    今なら、その言葉の意味も碧生の苦しさも全部解る。  …解る自分になれて、本当に良かった。

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