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第137話

 ふにふにと感触を味わってから、手のひらで優しく包み込む。 「…まり、」 「碧生、大好きだよ」 「……」 「ね、碧生は?言ってくれないの」 「………毬也が軽すぎる」 「そんなことない。だって本当のことだもん」  にっこり満面の笑みで微笑みかけると、碧生の頬はもっと熱くなった。  恥ずかしそうに瞳を揺らした後、その眼はゆっくりと俺の元へ戻ってくる。 「……俺も毬也が好き」 「へへっありがとう」 「…」 「碧生、キスしていい?」 「…ここで?」 「うん」 「外…だし」 「大丈夫、誰も通らない」 「…でも」 「碧生は俺とキスしたくないの」 「……」  泣きそうな顔で、小さく首を横に振る碧生。  あー、もう。  可愛すぎて、理性とか忘れちゃいそう。 「じゃあ、昨日教えた通りやってみて」 「え」 「昨日、キスの仕方教えたよね?」  頬に手を乗せたまま、俺の方が先に目を瞑ってみた。  ちょっと意地悪だったかな。困った顔してるんだろうな。  でも、碧生からして欲しいとか、碧生を見てるとそんな欲張りが込み上げちゃって仕方ない。  碧生は短めの溜め息を吐き出してから、おずおずと俺のジャケットを掴んだ。  くいっと寄せられて、顔が近付いたのを感じる。  ちゅっ。  かすかな音をたてて、唇がくっ付けられた。  と、思った途端に温もりを味わう間もなくその唇は離れてしまったから、頬に触れていた手でその動きを止める。  唇と唇は、1センチの距離。

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