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○和音の部屋。  空になったカップアイスの容器が、小さなテーブルの上にある。  そのテーブルを挟んで、向かい合って座っている和音と一哉。 一哉「和音」  和音は静かに首を傾げる。人形めいた無表情。 一哉「夏休みの間、ここで勉強してもいい?」  和音は少し目を見開く。 和音「だめだよ」 一哉「どうして?」  不思議そうな顔の一哉。  和音は呆れたような顔をする。 和音「こっちが聞きたいよ。俺がなんで一人暮らしすることになったかわかってる? 兄ちゃんに影響があったらまずいからだろう」  一哉は、なんだそんなことか、と言わんばかりの顔で首を傾げる。 一哉「大丈夫だよ」

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