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和音「なにが?」  和音は眉をひそめる。 一哉「においがしない」 和音「――」  和音の表情が少し強ばる。 一哉「和音の発情期はまだ来ないよ」 和音「……でも」 一哉「誰と会うかわからない外よりも、和音といる方が安全だよ。一緒なら、俺も和音が一人で怖い目に遭ってないか心配しなくて済むし」  和音は表情を引き締める。頼りなく見えないように。 和音「大丈夫だよ。俺だってもう高校生だし」 一哉「それでも心配だ。和音は俺の、たった一人の弟なんだから」  和音の表情が、少しだけ頼りないものになる。 和音M「俺はたぶん寂しかった。それに、一方的に俺を追い出した両親に、反発めいた気持ちもあった。だから、兄の頼みを聞き入れてしまった」

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