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一哉が和音の髪を乾かしている。
和音は一哉の足下、ベッドの下に座り込んで目を閉じている。
和音M「親同士の再婚でこのひとと兄弟になったのは、小学生のころだった」
○(回想)少し屈んで和音と目線を合わせて、優しい顔を向ける一哉(よろしく、と挨拶をしている場面)。
和音はそれに笑い返さず、泣き出しそうにも見える無表情を貫いている。
和音M「兄はいつも優しかった。与えられた自室に慣れなくて俺が眠れていないことに気がつくと、自分の部屋の扉を開けて、俺を招き入れてくれた」
○(回想)一哉の自室のベッドの上。
眠りから目覚める幼い和音。
目の前に一哉の寝顔を見つけて、和音が安心したような顔をする。
目を開けた一哉が、寝ぼけたまま、和音の髪を撫でて目を閉じた。
和音が泣き出しそうな、嬉しそうな顔をする。
○回想終わり。和音の部屋。
ドライヤーの音が止まる。
和音が閉じていた目を開く。切ない表情。
和音(大切な家族だと――心から思えたらよかったのに)
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