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第40話→sideRT

ハンドルを握りしめながらハルカの問いかけに、俺は目を細める。 聞かれた問いかけに、わかってもらえないことを知り奥歯を噛み締める。 何でなんて決まっていることだ。同情でも、腐れ縁でもなんでもない。 「何でとかそんなの聞くまでもねえよ。オマエが、居なくなったら探すに決まってるだろ」 ただ1人ずっと好きで仕方がなかった相手。 かなうことなんかないと決めた気持ちも、全部オマエのためだったのだから。 「…………バカじゃねえの。ヤクザ相手に……なんかあったらどうすんだよ」 「キャハハ、そうだなヤクザ相手だったな。殺されるよな……でも、それでもよかったかもな」 俺の言葉に、後部座席のハルカが目を見開いて信じらんねと呟くのが聞こえた。 「しかも真壁に頼るなんて……さ」 「……成り行きもあったけどな。四の五の言ってられなかったからな」 「ハッ……手遅れかもだぜ……。もう、俺は……昔の俺じゃねえ」 ハルカは吐き捨てるように言うのが聞こえる。 「生きてりゃ、いいよ。俺は」 殺されちまってるんじゃないかとまで考えていた。眠れない日も沢山あった。 俺の命を引き換えにしてもいいと、願った。 「バカだよな…………。今からでもどっかに捨てていけよ」 「俺が買ったんだからな。簡単には捨てねえよ」 ハルカは顔を隠すように座席に頭を押し付けている。 「ハッ、やっぱりモノ扱いかよ…………」 「…………テメェがバカだよ。モノのわけあるかよ」 ただ1人愛してる人だ。 本人に伝えても、かないっこない気持ちだけど。 伝えたいと、は、思う。 「オマエは俺のなんなの?ライ」 そう、俺はいつだって…………ハルカのモンだった。 「……犬だよ」 「ハッ、いつもソレだよな…………バカ犬、俺を捨ててけよ」 「…………それはできない」 「主人の命令きけねえとか、ホントにバカ」 その口調に少しだけ、力が戻ったような気がして俺はマンションの駐車場へと車をすすめた。

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