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第65話→sideRT
少し顔色の冴えないハルカを車に乗せて、俺は買い込んだものを後部座席に載せると、運転席に乗る。
「……大丈夫か?ハルカ」
「あ、ああ。……早く帰りたい」
手で出してイかせてやったが、それだけでは足りなかったらしく、ハルカはそこでしたいと誘ってきた。流石に学校でもなく、誰がくるかもわからない。
声を我慢させれば良かったのだけど、中は狭すぎてうまく動けそうになかった。
ちょっと無理だと言ってモールをでてきたのだが、ハルカはかなり浮かない表情をしている。
「……後悔してるか?」
シートベルトを嵌めてアクセルを踏んで駐車場を出るとポツリとハルカが呟く。
「なにが?」
「俺を、連れてきたのを、さ」
「意味わかんねえ。後悔するわけねえ」
一体何を後悔するというんだろう。
死にそうな思いで必死に探して、やっと見つけて取り戻したのに。
「最悪……だ。最悪すぎんだよ……俺は。自分勝手で、オマエにばっか……迷惑かけてる」
頭を押さえてハルカは、悲痛に嗄れた声を漏らす。
葛藤するような、そんな感じの声。
「……別に……迷惑とか」
「オマエは、俺が好きなんだろ。だから、そんな風に言うしかねえんだろ」
感情的な声に俺は揺さぶられる。
行き先を変えて、少し薄暗い林の中へ進む細道へと車を向かわせる。
「そうだな。俺はずっとハルカが好きだ。だから迷惑な訳がない」
「……トイレで、俺を買って調教してた男に会った」
ボソリと俯いて漏らした言葉には罪悪感がいっぱいだった。
普段、そんなことを気にする柄でも無いハルカが、気にしてくれていることが、俺には意外だった。
「そいつを見ただけで、俺は……勃起しちまった。好きでもねえし、顔ももう見たくねえのに……」
泣き出しそうな顔を浮かべて、ギュッと拳を握ってわなわなと震えている。
身体が俺を裏切ったことへの、罪悪感。
「…………こんな節操ねえのに、俺はオマエに……面倒ばっかかけてて……」
「……らしくねえな。全部俺が引き受けるって言ってるだろ。まあ、ハルカが、俺を見ただけで勃起してくれるようになるのが1番だけどな」
薄暗い路肩に車を止めてシートベルトを外すと、ハルカのリクライニングを倒して、シートベルトを外す。
「……それには、やっぱり2ヶ月いるか?」
「バカ……だな。俺がソイツのテクニックにハマってるのかもしれねえじゃん」
「なら、俺ももっとテク磨くし。どうされてえのか言えばいい」
「ハッ…………すげえ、バカ」
ハルカは喉を鳴らしていつものように笑うと、俺の腰にグイッと腕を回した。
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