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第68話→sideRT
運転をしながら、さっき草むらで拾った名刺をちらと眺める。
さっき、ハルカの服をぬがした時にポケットから落ちたのだ。
見た瞬間に芽生えたのは、競争心、怒り、嫉妬などとても汚い感情ばかりで、ここまで酷くする気はなかったが、ハルカに八つ当たりをしてしまった。
そんなの、理由は分かっていた。
水上一哉と書いてある。
どこで手に入れたかなど、明白だ。
俺がハルカから目を離したのは、トイレでしかない。
客に会ったといってたか、何故急にトイレでハルカは発情したのか、そんなのは明白だ。
ただ、俺は傍にいれればいいと考えていたのに、人間は欲深い生き物だ。
ハルカが発情するのは、俺だけであって欲しいという独占欲。
もっとほしい、全部欲しいと願ってしまう。
今後の憂いをたつためなら、俺は、ハルカを壊してしまうことさえ、辞さないくらいだ。
「……ッキャハ……なんてな」
そんなこと、できるわけないか。
そんなことより、何より俺は、ハルカが大事だ。
「……ッ……らい…………なあ、たりねえ、……まだ?」
助手席で意識がもどり目を覚ましたハルカが、まだ熱っぼい表情で視線をこちらに向けてくる。
「……起きたのか…………。待てよ、家でしてやっからさ」
「……ん。さっきの、こうふんした」
「キャハ、まだまだ、序の口だろ」
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