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第11話

森の奥に広がる、深い闇。 夜景目的で訪れる人なら、絶対に立ち入らない場所だ。 「……ちょっとだけ」 展望台には、人がいる。 もしかしたら、知人に会うかもしれない。 誰にも邪魔されず、他人に聞かれたくない話があるんだろうと推測し……藤井は亜由美の誘いに乗った。 遊歩道に入り、その入り口付近にあったベンチをスルーする亜由美。 「……もう少し先ので、いい?」 「ん。いいよ」 その奥には、外灯が無かった。 野生動物が潜んでいそうな茂みと、永遠に続く闇。 入り口付近のベンチでは、確かに展望台に訪れた人の目に晒されてしまう。 亜由美の手をギュッと握れば、安心したように亜由美が藤井を見上げた。 一人なら怖くて避けてしまうような暗闇の中でも、心を許す人が傍にいるだけで、違った空間へと変わる。 二人だけの世界。 繋いだ掌が次第に熱くなり、二人の距離が徐々に近付いた。……その時だった。 「……こぉんな所で、なにしてんのぉ?」 突然背後から、くつくつと笑う声。 途端に背筋が凍る。 彼女の手を強く握ったまま、彼女を守るように藤井が振り返った。 「……!!」 見れば、そこにいたのは……見るからにヤバイ感じの集団。 金髪にピアスは当たり前。首元や二の腕には刺青。派手な服装。 「あっちの茂みで、しようとしてた?」 「……まだ高校生じゃん」 「てか彼女、可愛いねぇ……」 「金持ってんだろ?」 四人の男がそれぞれ口にし、二人を囲む。 ゆっくりと。嬲るように。 「出さねぇとさ……どうなるか解るよな」 「……へぇ、純情そうな子じゃん」 一人が金をせびり、もう一人がイヤラシイ目付きで亜由美を値踏みする。 残る二人は、威嚇体勢のまま、藤井と亜由美の様子をじっと窺っていた。

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