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第15話

「………彼女を、守れなかった」 その声は、淡々としているものの……切なげで淋しそうに聞こえた。 もげ堕ちた羽根を掻き集めているのか。肘を付いたまま、掌や腕で辺りをザッザッと擦る。 そして顔の近くでその手を止め、爪を立て……雑草ごと地面の土を抉り、そのままギュッと握り潰す。 「奴らは、無抵抗の亜由美を……何度も、何度も、何度も、何度も……!!」 止めようと男達に飛び掛かれば、喧嘩の仕方も知らない藤井は、手の空いた男に暴力で簡単に捩じ伏せられてしまった。 ……それでも。 諦める訳にはいかない…… 頭の片隅に、例え救われないビジョンがチラついたとしても…… 「──や、めろっ!」 軋む体を起こし、亜由美の元へと駆け出す。 そうしながら、どうして最初からこうしなかったのかと……後悔した。 「俺が、袋にされてもいい。だから………彼女だけは……!」 「……もしお前が、今すぐ100万出したらな!」 金を出すよう脅した男が、ニタニタと笑いながら言い放つ。 レイプの様子を、傍観しながら。 亜由美のブラウスが剥ぎ取られ、下着が露わになっていた。 制服のスカートは臍まで捲り上げられ、組み敷いた男の手が下肢に侵入している。 「やめろっ、!!」 「………み、見ないで……お願い……」 か細く震える声。虚ろな瞳。 そう訴えた亜由美が、顔を背ける。 「ふ…藤井くんは、……何も、悪くない…… ……こうなったのは、私が………私の、せい……だから………」 上擦りながらも、健気に吐いた亜由美の言葉に、男達がわっと沸いた。 「……」 完全に、楽しんでいる。 この男達は、性処理がしたい訳ではない。 捩じ伏せて、思い通りにして、力を誇示したいだけだ。 ……一体、何に対して。 俺か。亜由美か。 ……それとも、世の中のありとあらゆるもの全てにか……… 歯を食いしばり、藤井がもう一度男に飛び掛かった。 しかし……その細腕では全く歯が立たず、軽々と投げ飛ばされる。 ……それでも。 諦める訳には……… 「……そんなに犯されたいなら、俺が相手してやるよ」 それは、藤井に口淫を強要した男だった。 「俺はアイツらと違って、優しいからな」 仰向けに倒れた藤井の腰の辺りを、膝立ちで跨ぐ。 その男の頭上に現れたのは……冷たくも美しい、満月………

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