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第10話

「ぁ…ふぅっ、んっ」 「エル、兄弟でこんな事しないだろ?」 「あぅっ!」 「普段の時は兄弟でもこういう事をしてる時は俺の事で頭がいっぱいになれよ」 ぐりぐりとずっと刺激されていっぱいいっぱいになる。 男だから攻められたら小さいながら固くなってしまい下着を押し上げて苦しい。 ゼロは足の刺激を止めて、やっともどかしい刺激から解放されて一安心した。 しかしそれも一瞬でゼロは俺のズボンを下ろして恥ずかしい場所を見られてしまう。 子供の頃はゼロとよく風呂に入っていたから今さら見られても平気だ。 でも今は明らかに興奮しているからとても恥ずかしい。 「悪かった、きついか?…エルはもう精通したのか」 「あぁっ、に…さっまぁ」 「今は兄弟じゃないからゼロだろ?」 「…ぜ、ろ…ひゃっ!」 ゼロの名前を言おうとしたら、ゼロが意地悪してきて亀頭を軽く擦られた。 自分でするのと違い、動きが予測できず自慰より気持ちよくなった。 耳元で「エルの初めては誰を思ってしたんだ?俺だったら嬉しいな」と無駄に色気がある声で、耳に吐息が掛かる。 当たり前だ、他人と関わる事が少ない俺が毎日ゼロに大人のキスをされているんだぞ…反応しないわけない。 兄で抜くなんてと後ろめたかった時もあったが、挙動不審にしているとゼロに変に思われると思いずっと平常心を保っていた。 この秘密は墓場まで持っていくつもりだから今も言うつもりはない。 ゼロは答えを求めていなかったのか、笑うだけで俺の下半身を弄っている。 「可愛いな、もう濡れてる」 「あっ、あ…ゼロッ」 「すぐに抱いて俺のエルにしたいけど、まだエルは子供だからな…今日はお遊びだけだよ」 そう言ったゼロが俺をイかせる動きになり早く擦る。 もうそろそろ限界が近付いて爪先が丸まる。 ぐちゅぐちゅと音が響き、ゼロにキスをされてもう無理だった。 亀頭を強く擦られて、気持ち良すぎて勢いよく出して絶頂した。 ゼロの手で受け止めてくれたから布団に飛び散る事はなかったが、ゼロの前でイってしまい恥ずかしくて腕で顔を隠す。 はぁはぁと俺の息遣いだけが虚しく部屋中に聞こえていた。 「んっ、いっぱい出たな」 「ぜ、ゼロ…な、舐めっ」 「ふっ…」 ゼロは俺を見て男らしい笑みを向けて、俺が出したもので汚れた手を俺に見せつけるように舐める。 ゼロの手を掴み、早く洗ってほしくて洗面所に行こうと手を引きソファーから降りようと思った。 しかし足が思ったように動かなくてよろけてしまい、ゼロに腰を支えられた。 足に力が入らない、なんでだ?まだ快楽の波が消えていないように感じた。 生前の頃は誰かと付き合った経験がなくて、そういう事も未経験だ。 だからか、自分でする以外のこんな事……俺は知らない。 快楽と同時に眠気も襲ってくる、寝ちゃダメだ…だってまだゼロを精神世界から連れていかないといけないのに… そう思っていても、目蓋がだんだん降りてきてしまう。 このまま睡魔に身をゆだねたらどんなに楽だろうか。 ゼロはなんで俺にあんな事をしたんだろうか、兄弟じゃない事って言っていたからこの行為は兄弟でしないのだろう。 相手が俺みたいなちんちくりんの男でも目の前でエロい事をされたら興奮するのか。 もしかしてゼロ、欲求不満なのか?俺がいると恋人も作れないだろうし… 「…お、れ…いない方がいい?」 言うつもりはなかった、困らせる質問だと分かっているから… でもゼロの精神世界とはいえ、俺の気持ちも溢れて止まらなくなる。 頬を濡らす涙を拭ってくれてゼロは壊れ物を扱うように優しく抱きしめてくれた。 「エルがいなくなったら、死んでしまうよ」 その声はとても冗談のように聞こえずに、俺もゼロの背中に腕を回した。 俺だってゼロがいなくなったら生きていけない、それほど俺の人生でゼロは必要不可欠なんだ。 そう言いたいがとうとう限界が来て、夢を見る事なく深い眠りの底に落ちていった。 目が覚めたらそこは真っ暗だった、さっきまで眩しいほど真っ白だったのに不思議だ。 そんな暗い暗い空間に丸い小さな光がふよふよと浮いていた。 手を伸ばすと届きそうだったが届かなかった。 それでも必死に伸ばすと、丸い小さな光はゆっくりと移動した。 そして俺に近付いてきたと思ったらキラキラとした粉が舞い弾けとんだ。 すると暗かった空間がだんだん明るく開いていった。 気が付くと、そこは人通りがない路地裏の真ん中で座っていた。 近くにゼロがうつぶせで倒れていて、ゼロの前に誰かがしゃがんでいた見ていた。 ゼロに触れようと手を伸ばされたからとっさに大きな声を出した。 目が覚めたばかりのふわふわした思考の中でゼロが危ないと単純に思ったからだ。 「ゼロに触るな!」 「あれ?起きたんだ」 のろのろと立ち上がり、ゼロを守ろうとへろへろのパンチで戦おうとした。 しかし、そのパンチはすぐに掴まれてしまいゼロに近付く男に届く事はなかった。 元の場所に戻れたとかそんな事を考える余裕はなかった。 とりあえずゼロから離そうと押すとクスクスと笑われた。 俺だって本調子ならこんな奴倒せるのにとバカにされて不機嫌になる。 それを繰り返していたらだんだん視界がはっきりと見えてきた。 「そんな弱々しいパンチじゃ、騎士団に入れないぞ?」 「………あ」 ニヤニヤと俺を見つめて軽々と持ち上げられてその人の顔をはっきりと見た。 小さい頃、俺を誘拐しようとした庭師から助けてくれたヤマトがそこにいた。 ゼロになにかしようとしている奴という事だけしか頭になかった。 ヤマトも騎士団に入っているし、ゲームでは少しの間は副騎士団長としてゼロの右腕だった。 だからゼロに変な事をするとは思えないが、何をしていたんだと疑いの眼差しを向ける。 するとゼロから小さく呻く声が聞こえてヤマトに下ろしてほしくて暴れた。 ヤマトが手を離して地面に足が付いてすぐにゼロに駆け寄る。 「兄様!兄様!」 「へぇ、ゼロに弟がいたなんて初耳だなぁ…アイツ自分の事話さないから」 ゼロを抱き寄せると、安心したような穏やかな寝息が聞こえてきて一安心した。 もうゼロには呪の力が表に出てきていないからゼロの悪役フラグは折れたようだった。 しかし、何故フラグが折れたのか理由は分からないし…今回の事でゼロの精神が不安定になると、あの精神世界が現れてゼロを呪の力に誘うのかもしれない。 だったら何度でもゼロの悪役フラグをへし折り、ハッピーエンドに導いてやる! ヤマトはきっとゼロを助けてくれたのかもしれない、なのに俺は疑って攻撃してしまった。 頭を下げて謝るとヤマトはにこやかに手を振っていた。

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