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第14話

いささか怪訝に思いつつも、【無子】なる王子がいる筈の牢屋の内部を遠慮がちに覗き込んだ後、煌鬼の目に衝撃的な光景が飛び込んでくる。 胸元がはだけ、あらわになった桃色の乳頭を指で摘まみ上げたり弾いたりと玩ぶ【無子】なる王子の淫らな姿____。 半開きとなった口からは、普段は聞く機会もないような妖艶な喘ぎが漏れている。しかも、淫らなのはその上半身だけではなく――下半身も同様だ。王族らしからぬ質素な衣服を身に纏う【無子】なる王子の足が衣服の隙間からのぞいている。それが、とても艶かしい。 正直に言ってしまえば、そういう情事に今まで無頓着だった煌鬼は激しく燃え盛る興奮の炎を抑えきれなくなりかけていた。 (な……っ……何ゆえ、このような……淫戯に耽っているのだ……この王子は____) 顔が燃えるように暑く、その熱が己の下半身のある場所にまで移ってしまっている――と自覚した煌鬼は一瞬にして気まずさを覚えてしまい慌てて目の前で淫戯に耽る【無子】から目を逸らす。その際、両手で目元を抑えていたのだが――やはり、どうしても気になってしまい手のひらの隙間から、ちらりと目線を向ける。 その時だった____。 「あ……っ…………ああっ……お、お願いだ……っ__この猛りを……鎮めてくれぬか……煌鬼よ……我が兄……賢子の……守子よ……っ__苦しゅうて、苦しゅうて……堪らないのだ……んっ……ふっ……」 「な……何をっ……!?た、猛りを……鎮めろとは――あなた様は……いったい、何を仰っているのでございますか!?」 唐突に【無子】と目が合い、煌鬼はどくんっと心臓が高鳴るのが分かった。それだけではなく、ふいに今宵は満月だということに気付いた。それと同時に、以前に彼の兄であり己の主人ともいえる第二王子の【賢子】から弟である【無子】は他の王族皆がαであるが、弟である彼だけが高貴なる王族ながら周りの従者達から《劣等種》と囁かれているΩであると聞いたのを思い出す。 『Ωには満月の夜になると発情なる症状が出る。それを抑えるには、特別にこさえられた丸薬が必要なのだ』 かつて、誰かから教えられた事を思い出した煌鬼は牢屋の鍵を開けると、ずかずかと中に入り無遠慮に《発情を抑える丸薬》を探そうとする。 しかし____、 「後生だ……猛りを……っ__お主の手で……鎮めてほしい……っ……」 ぐいっ……と着物の裾を【無子】から引き寄せられ、ついに煌鬼の理性は爆発してしまう。必死で抑えていたのだが、あまりにも熱に浮かされた【無子】は妖艶だったのだ。 そのまま、煌鬼は凄まじい快感に襲われる彼のびくびくと震える小さな体を抱き締める。

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