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第2話

ガラスのドアを開き、ジオを中に放り込む。 もうもうとした湯気を吸い込むだけでジオは、頭がクラクラとした。 男は大きな湯船に溜まった黄金のお湯を柄杓ですくい上げると、バシャッとジオに掛け始めた。 何度も何度も、顔や体に掛ける。 だんだんペースを早め、最後は桶に溜めたお湯を乱暴にジオの頭にかけた。 ジオは気管に入ったお湯に噎せたが、気丈にも何とか体を起こした。 「さすが、女神様だ……こんなことでは挫けませんね」 男は冷たい目でジオを見下ろした。 「さぁ、体の中も聖水で満たしましょうね」 男は傍にある銀の水差しを手に取ると、ジオの顎をつかみ、唇の間に細い水差しの口の部分を突き刺すように入れ、男はゆっくり傾けた。 「んん……っ!!」 ジオは口の中に蜂蜜のようなどろりとした液体が注ぎ込まれる。 むせ返るようか甘い香りが広がり、体の中に蓄積されていく。 「やぁ……っ、もぅ、やめて……!!それ、やだ……ぁ……」 視界が歪む。 あの液体を飲むとジオの体は火照り、人肌に触れる度に敏感になってしまう。 まるで、自分の体ではないような……ただひたすら感じるままに喘ぎ続ける人形になってしまう。 「いけませんよ?貴方はずっとここで暮らすんです」 男の目が笑うように細くなる。 けれど、冷たい目。 男は着ていた黒衣を脱ぎ捨て、ジオと同じように裸体となる。 そして、面頬をカチリと外すと、色白の端正な顔が現れた。 唇は薄く、鼻筋の通った顔。 どこかの貴族か王族のような気品を讃えた真っ黒な瞳。 セイブルのように鍛えられた体ではなく細身の体であるが、力はジオよりも強く、力の抜けたジオの体を軽々と抱えた。 「さぁ、湯浴みをしましょう」 「や……っ、おねがい……その、お湯はいやぁ……」 水を怖がる子猫のようにひたすらジオは首を振り続けた。 男は抱えながら、共に湯船の中に入っていく。 黄金のお湯は温かく、ジオは体が溶けていくような感覚に陥る。 先程までの威勢も、力もなく、ぐったりと男の腕の中に収まる。 いつの間にか枷は外され、啄むように男にキスをされる。 拒否をする間もなく、身体中に浴びるキスに火照った体は敏感に反応してしまう。 「こんなに震えて……ジオ、貴方は本当に淫乱な御方だ」 男はジオと向かい合わせに座り、先程までのセイブルとまぐわっていた蕾を長い指で撫でる。 とろりと蕩けた蕾は、蜜に群がる虫を誘い込む花のようにひくひくと引くついている。 男は焦らすように蕾の周りを撫でたり、蕾の入口をゆっくりとかき混ぜる。 「ふ……っんぅ……」 静かな浴室に微かな水音とジオの恥じ入るような声が響く。 焦れったい触り方にジオの体は余計に火照る。 (もっと、触ってほしい……もっと奥まで……) ジオは枷が外れた手でそっと自分の柔らかい尻に指を入れようとするが、すぐに男に手首を絡め取られてしまった。 「ジオ様……ご自分でなさらなくとも、貴方が素直に望めば、何でも与えます。さぁ、何が欲しいかおっしゃってください」 「……僕は、何も……欲しくなんか……」 「では、この美しい手で何をされようとしていたのですか?」 「それは……」 快楽を深く求めようと自分の指で弄ろうとしていた。 そんなこと、この男には言いたくない。 「こうされたいのでしょう?」 耳元で男は囁くと、ジオの蕾に深く自分の指を埋めた。 急な快楽にジオは切ない声を絞り出す。 深く入れられた指はうねるように蕾を蹂躙し始める。 少し前なら、こんなことをされても気持ち悪いという感覚だけだったのに、聖水を定期的に体に満たされるようになってからは、気持ち悪さを通り越し、快感に震えるようになっていた。 「あ……っあ、いやぁ……!」 「おや、嫌なのですか?」 男はあっさりと指を抜くと、ジオはぽっかりと空いた自分の蕾が切なくなった。 「ジオ……そのような切ない顔を……」 先程までの無表情から一変し、男はジオの顔を愛しそうに撫でる。 「……入れて……ほしい」 ジオはとろりと蕩けた顔で、男を見つめる。 「僕の……やらしい穴にあ、貴方の魔羅を……深く入れて欲しい……っ」 「よく言えましたね」 男は満足気に微笑むと、ジオの両足を開き、一気に挿入する。 ぬるめのお湯の中で、ジオは快感に震え、そのままお湯に溶けてしまいそうになる。 男はピストンをしながら、恋焦がれるようにジオの名前を呼び続けた。 「ジオ……っジオ……私の名前を呼んでください……!!」 「あ……っ、ふぁ……!シュ……シュバルツ……! もっと、もっときて……」 少し前まで高貴な身分であったジオは、まるで娼婦のようにその男、シュバルツの腰に細い足を絡めて、ねだり始めた。 それに応えるように、シュバルツはジオの小さな尻に自らの腰を打ち付ける。 湯船の湯は、それに合わせて大きく揺れながら、湯船の外へ流れていく。 「あ……っ、シュバルツ……!くる……何か、きちゃうぅ……!!」 「私も、あと少しで……っ、イきそうだ……!ジオ……!!ジオラルドっ!!」 まだ成人を迎えていないジオの滑らかな肌に舌を這わせながら、最後、下から突き上げる。 種を蕾の中に流し込まれながら、ジオは体を反らせながらイッた。 「シュバルツ……」 ジオはぐったりとシュバルツの体に身を寄せながら、気を失った。 体を抱き上げ、浴室から上がり、火照ったジオの体を優しくタオルで包む。 「ジオ……貴方は一生ここにいるべきなのです。さもなくば、貴方は……」 その先は何も言えなかった。 言葉にするのも恐ろしかったからかもしれない。 「ここにいれば、安心です。ずっとずっと私たちの『女神』としていてくだされば、それでいいのです」 白いサテンのネグリジェを着せ、ベッドにそっと寝かせると、シュバルツは再び黒衣に身を包み、面頬を付け、部屋から出て行った。

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