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第4話

「このショーは飛び入り参加OKとさせて頂きます。  ゲスト様の卓上には小型タブレットが置いて御座います。その『参加する』という箇所をタップして頂くと、数字を打ち込めるようになっております。  その金額が最高値を付けた方お一人様限定で、という趣向は如何でしょう。  なお、勝手ながら現金のみお受け致しますのでご了承ください」  「カードは使えないのかね……」とか「ネットバンキングの振込みに対応していないだと」などの不満そうな声が背後の席から響いてきた。  多分だが、このゲイバーの経営者は「その手の趣味」だけで始めたわけではないのだろう。それならばカード会社とも契約を結べるし、銀行口座間のやり取りも可能だ。  しかし893が絡んでいると昨今は銀行口座も即座に凍結されるし、カード会社も出入り禁止になる。 「ゲームにはルールが付き物ということでご容赦お願い致します。  また、その『選ばれたご一名様』には当店からのサービスと致しまして、ユキを逝かせることが出来ました場合に――」  気を持たせるような感じで司会者の男は言葉を切った。  卓上には確かに、アイパッドミニが置かれていることに気が付いた。  そして、カメラのアイコンを開いてみると、色々なアングルから見られるようになっていた。尤も今は天井とか床しか映っていないものの、行為が佳境に入れば舞台各所に設けられているカメラのどれかが刺激的な画を映し出すのだろう。  司会の男が口を開くのを固唾を呑んで見守っている中で、隣の美容整形経営者が葉巻をくゆらした太い指を上げた。 「今から銀行に行って下ろしてくることは可能かね?」  どうやら参加する気満々と言った感じだった。隣に座ってヘンリーⅣを呑んでいたジャニー○系の青年が露骨に眉を顰めている。 「あの子を交えて三人で楽しむのも面白いだろう?いや君とあの子の絡みをワシが見るというのでも良いな。あの子なら君が組み敷く方に回れるぞ?」  舞台の上では――脱いだら色鮮やかな彫り物でも見えるのを恐れたに違いないが――銀行員のようなスーツ姿の短髪の男性二人が、ユキの乳首や縮んだ男根、そして肛門の周りにローションをたっぷりと塗りつけている。 「それは構いませんが……。多分、その金額では……」   コンビニエンスストアでの出金額は、たかが知れている。特殊詐欺などの被害に遭わないようにするためだと書いてあったが。  確か十万円程度しか下ろせなかったハズで、しかもこの時間はどの銀行も閉まっているので窓口で下すことも不可能だ。 「取り敢えず行ってくる。他の注意も良く聞いておいてくれ……」  葉巻の独特の香りを灰皿に残してそそくさと立ち去った美容整形の院長先生に言いつけられたジャニー○系青年は、欲情にギラつく眼差しで、ユキのそれほど使い込んでいない色と形の肛門を見ている。  ライバルが増えそうだな……と思った自分に驚いた。  確かにユキのルックスは好みではあったものの、この程度ならお金で買わなくても口説ける自信は有った。 「本題に戻ります。ユキを極めさせたゲスト様は、お支払いの約束した金額の半額をお返しいたします。  そして――はい、皆様拍手を下されば幸いです。この鍛え抜かれた身体と、この立派なモノはネコ様には絶大な人気を誇っております。  そして御覧の通り、ゴムを付けております」  隆々と言った感じで天を向いた大きなモノには確かに装着されている。  それを見た「お姐さん方」が黄色い裏声を上げているのが印象的だったが、リョウ的にはユキの慣れている感じではない場所にアレが入るのだろうか?と「心配」してしまっていた。 「しかし、ゲスト様にはゴムを付けるかどうかの選択肢も御座いますし、装着せずに中で出された場合、この」  二人のスーツ姿の男性がユキの身体を軽々と持ち上げて、尻の間を広げた。  ピンク色のソコはローションの油分で煌めいているのが妙に扇情的で視線が外せない。 「ね、あのユキって子、こういう行為に慣れていると思う?リョウの意見が聞きたいの」  詩織莉さんが、投げやりな感じではあったものの、何だか真剣そうな感じの口調で聞いて来た。 「ピンクの門から精液が溢れた時を持ちまして、何と!!!  お代金は一切頂きません」  その破格の条件に会場が拍手と喝采、そして熱狂の渦に巻き込まれていった。 「そうですね、多分ですが、慣れていないと思います。  そして」  詩織莉さんがどういう気持ちでリョウに聞いてきたのか分からないので、一旦言葉を切った。

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