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第7話

 肉厚の舌がピチャピチャと音を立てて小さな乳首とその周りを舐め回す音と、指が埋まった場所が微かに開いて擦っている湿った擦過音が密やかに会場の空気に混じって淫らなボルテージを上げている。 「ああっ……。それっ……以上はッ……ダメっ」  ユキの白い肌が紅色に染まっているのは乳首や肛門、そして前にたっぷりと塗りつけられた催淫剤入りのローションの効果だろう。 「ダメはなっ!イイって意味なんだよ、子猫ちゃん。コレを、ココにズッポリ挿れられたいんだろう、このインラン」  舞台の上では、マッチョ男が隆々と天を衝いたモノを桃色の尻に押し付けている。  その瞬間、ユキの細い身体が強張って微かに震えている。  ヘンリーⅣのグラスを傾けながら詩織莉さんは赤い唇を事もなげに開いていた、花のように。 「リョウの上手さは知っているもの。どんなバージンの男の子でもトロトロにしちゃうって聞いた覚えがあるわ。  だから、あの子をイカせて、そしてあの子のピンク色の可愛い穴からリョウのを出すことが出来たら私はお金を支払わなくても良いワケよね」  なるほど……と感心していると、タブレットが小さな音を立てた。  画面を見ると、1千2百万円に変わっていた。 「これだけのお金を出すんだ。お持ち帰りを許して貰っても良いのではないか?」  声の主は舞台の上のマッチョとは異なった感じの「紳士」風の人間だったが、視線は冷たさに満ちている。  こういう人間は相手の快楽などは全く考えずに手前勝手な「行為」をすることは店の数少ない水商売系のお客さんから聞いていた。  それに、身に着けているモノはいかにも高価!!という感じをアピールする派手さで、多分カタギではないのだろう。  詩織莉さんのアクセサリーもダイアとルビーが華麗に煌めいてはいるが、この男は派手で大きければ良いと言わんばかりのダイア入りのウブロの腕時計だ。 「どうします?」  詩織莉さんに小声で聞いていると舞台の上でも司会者がスマホで誰かと相談している。  その間にもユキの小さな穴に太い指が一本出たり挿ったりしている。その度に湿った淫らな音と「ああっ……ダメっ……。もう……」という啼いているのか泣いているの――多分後者だろうが、実際に涙も流れているので――声が会場に流れては観客の熱を上げていっている。 「決まっているわ」  詩織莉さんは、タブレットを手早く操作して、2千万円と打ち込んで「入札」をタップした。  残り時間はあと1分28秒と表示されている。 「最高落札者様にはお持ち帰りの権利もオプションでお付けいたします!!特別に!!」  その司会者の声に会場がどよめいた。 「ねぇ、あの子と三人でしたいな!先生がオレの中に挿れて、オレがあのユキとかいう子の中に入ってユキの可愛いモノは先生のお口で可愛がってあげるとかはどう?  オレもああいう顔を滅茶苦茶に突き上げたいなぁ、ダメ?」  隣の席のジャニー○系の青年も冷たく熱い感じで先生に淫らなお願いをしている始末だった。  多分、これほどの高値が付くとは思っていなかったのだろう。ベルベットのカーテンめいた物で壁を覆っていた場所に胡蝶蘭の白い花や紫色の見事なモノが背景に加わった。 「よし、2千5百万!」  隣の整形外科医院の院長先生が気合いの入った声と共にタブレットを操作している。  詩織莉さんも真赤な指を器用に動かして、すかさず3千万円と入れていた。 「終了です。3千万円で、こちらの美男美女のお客様に決定致しました。  お二人でユキを?それとも……」  詩織莉さんの嫣然とした笑みが司会者の真っ直ぐに注がれている。 「この場に女が出るなんて無粋なコトはしないわよ。  美しい人達が愛し合う姿は素敵だもの。それを見ているだけで充分。  さ、リョウ、お願いね」  こうなったら、3千万円という大金を――詩織莉さんにとっては、はした金なのかも知れないが――リョウに投資してくれた期待に応えなければならないな……と思いながら立ち上がって舞台の方へと歩み寄った。  背中に冷たい視線やトゲの有る視線が突き刺さるが、そういうのには慣れ切っているのでそれほど気にならない。  それよりも、自分を見た瞬間ユキが安堵した感じで少し笑ってくれた、その花のような笑みだけを見詰めて舞台に上がった。  考えていたことが有ったので、銀行員風のスーツの男の方に歩み寄って話しかけた。  すると、当惑したような表情で司会者へと助けを求めるような視線を送っている。 「リョウ頑張って!期待しているわ」  詩織莉さんの気高く凛とした声が響いた瞬間にブーイングとかヤジが飛んでいた会場が水を打ったように静かになった。 「ま、あのホスト風イケメンと風に堪えない風情の美しい男の子との本番ショーなら確かに絵にはなるだろうな……」  最後まで競り合った美容整形外科院長がジャニー○系青年に宥めるように言っているを小耳に挟みながら、ユキの身体を抱き締めた。  そして、耳朶に舌を這わせながら、司会者の指示に従ったと思しきスーツの男の動作を見守っていた。  しかし、詩織莉さんは何故この子に三千万円ものお金をつぎ込んだのだろうと思いながら。 「えっ……」  オレが愛撫の最中に囁いた言葉に目を見開く様子が可憐だった。

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