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第25話

「辛い姿勢を強いることになるが……。腰はなるべく浮かして欲しい」  ユキの耳にだけ小さく囁きを落としてから、耳朶の裏を舌で舐めた。  基本的に皮膚の薄いところは性感帯なので。ベビーピンクに染まった耳朶とか耳の後ろもとても綺麗だった。  無垢さとひたむきさを感じる素肌の色が、白い胡蝶蘭に良く映えた。いや、ユキの甘く薫るような素肌を引き立てているというのが正解かも知れない。 「ああっんっ……イイっ……。――分かった」  胡蝶蘭の紅さに負けないユキの艶っぽい声だったが、最後の方は可憐な花のような小ささだった。  ユキの半ば立ち上がった物に唇を付ける前に、華奢な脚を優しい仕草で誘導して素足の足の裏を胡蝶蘭の褥に置いて、掲げられた腰を抱いて足を大きくMの字に開かせた。  客は皆舞台の上を注目している。  多分、そういう行為を実践するよりも観た方が良いと判断したらしい。この店でこういうショーと二次会が度々行われているらしかったが、ユリさんとかは完全に性の饗宴を楽しんでいる風情だったし、複数人のプレイとか「上級者」向けのプレイが多いのだろう。  オレとユキの思惑はまんまと成功したような気がする。  立ち上がったユキのモノの先端部分を舌全体で舐めると「もっと」というように身体全体が上がった。  その機に乗じて、M字に開かせた足を更に広げて桃のようなお尻の狭間を開いた。 「ああっん。嫌っ……零れちゃうっ……」  こういう言葉が逆の意味だということは分かっている。  それに嫌と言いながら更に足を開いてオレの指を受け入れようとしている。  客席の反応が気になってチラリと見ると、後ろの方ではオペラグラスを使って見ている人間が居る。  やはりこの店のショーは富裕層に密かに浸透しているらしい。勿論こんなショーは違法なので893が関係しているのだろう。警察に対しても上手く手を売っているのかも知れない。  少なくともユキのことを心の底から心配している感じの詩織莉さんがそんなリスクを冒すようなことはしないだろう。確か公然わいせつ罪とかになるとか聞いた覚えが有った。  それに万が一警察の介入があったらその場所に居た全員が最寄りの署に連行されるとか。  真偽のほどは知らないけれど警察書の周りには記者が居るという話もあったしそうなれば詩織莉さんほどの人気女優がそんな目に遭えば週刊誌の格好のネタになるだろうし、女優生命を絶つような真似はしないだろう、多分。  ヘンリーⅣの白いボトルに映える紅い爪が優雅とは程遠い動きでグラスに注いでいるのは気になったが。 「綺麗なピンク色の中から白いエキスが流れていくのは絶品ですな……。胡蝶蘭が紫だったらもっと扇情的なのだが……」  一人の恰幅の良い紳士が感に堪えたように大きすぎる独り言が静まり返った客席に響いた。  すると、先程のスタッフがユキの高く掲げた尻の下に紫の胡蝶蘭をすかさず敷き詰めていく。 「ローション……普通ので良い。余計な薬効のない透明なのを用意して欲しい」  そう告げると、黙って頷いてローションのボトルを黒子のように手渡してくれた。 「白いエキスもイイが、透明なのも水晶みたいで綺麗だぞ」  立ち上がったユキの初々しい感じのくびれをごく軽く歯で挟んでそう告げた。  そして、指にたっぷりとローションを纏ってユキのピンク色のまだまだ初々しい処女地のような場所を開いて客席に見えるように咲かしていく。  ユキもオレの唇や舌の動きを真似てくれている。幾分ぎこちないのも却って新鮮さが有って良いだろうし、ユキの口で息子を愛されていると思うとそれだけで興奮した。 「69も初々しくて良いですな。素人っぽさが堪らない。  最近のショーは技巧に走り過ぎという気がしましたが。  これは恋人同士の愛の行為に耽っているのを覗き見しているような感じで……」  ユリとかユウジも何だか羨ましそうな、そして悔しさも混ざったような表情で眺めている。 「ああっ……ソコはダメっ……。出ちゃうよっ……」  ユキがオレの息子から唇を離して切羽詰まった紅い声……いや、指を伝って白と透明の雫を零してい赤紫の胡蝶蘭のような艶やかな声を上げている。 「口がお留守になっていて……オレの息子が寂しがっている……。思いっきり逝って良いぞ。若いんだから直ぐに元気になりそうだし……」  取って置きの低音でそう告げるとユキが我に返ったような感じで、くびれの部分を尖らせた舌先でグルリと辿っていく、オレに倣って。 「そう、とても上手い……。お礼に……」  挿れた指を三本に増やして前立腺を強く押した。 「ああっ……ダメ。イクっイクっ」  紫色に濡れた声がより高く甘くなった。  口の中に挿れたユキの息子も今にも弾けそうに震えている。 「ああっ、イっ」  口を離して「その瞬間」を客席に見せようとした。  会場は唾液を飲み込むのを誤魔化すように手元のグラスを口に付けている人が多かった。  先端部分から勢い良く白いエキスが飛び散っている。薄紅色の腹部だけではなくて、赤紫の胡蝶蘭にも宿るように幹を揺すった。  胡蝶蘭の上に真珠の珠がばら撒かれたようになっているだろうな……と思いながら、二つの果実を擦り合わせた。 「ユキ、とても綺麗だ……胡蝶蘭よりもさらに……。そんなユキのことが大好きだ……」  真摯な声でそう告げると、薄紅色の身体が蝶のように跳ねた。 「リョウ……。リョウので。深くまで衝いてっ……」  そのうわごとめいた艶やかな声も身体の下に敷き詰めてある胡蝶蘭のような濡れた煌めきを放っているようだった。  ユキの提案を飲んでみようと、両の膝頭の後ろを優しく掴んだら、オレの思惑通りの仕草をしてくれた、予想以上に艶っぽい感じで。

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